今日も一日、本当にお疲れ様でした。この記事では、ベッドの上でできる寝ながら腹式呼吸のやり方を解説します。
がんばりすぎた心と体を優しくときほぐし、穏やかな眠りへのお手伝いができれば幸いです。
【忙しい方へ:要点まとめ】寝ながら行う腹式呼吸は、心と体をリラックスさせる最も簡単な方法の一つです。以下の4ステップを意識するだけで、誰でもすぐに実践できます。一番のコツは、息を吸うことよりも「吐き切ること」に集中することです。
ステップ | やること |
---|---|
準備 | 仰向けで膝を立て、お腹に優しく手を当てる |
息を吐く | 口から6〜8秒かけ、お腹をへこませながら吐き切る |
息を吸う | 鼻から3〜4秒かけ、お腹を膨らませるように自然に吸う |
繰り返す | この呼吸を5〜10分、心地よいと感じるリズムで続ける |
この記事で分かること
- 寝る前5分でできる腹式呼吸のやさしい始め方
- ストレスや不安をだんだんと和らげる呼吸の仕組み
- 初心者の方でも迷わない具体的な5つのステップ
- 呼吸の効果をさらに高めるコツと、無理なく続けるためのヒント
寝る前の5分でOK。「寝ながら腹式呼吸」の基本とやり方

毎日忙しく過ごしていると、自分のための時間をゆっくりとることさえ、難しいと感じてしまいますよね。
しかし、呼吸はいつでも、どこにいても、私たちに寄り添ってくれる最も身近なセルフケアのツールです。
特に、一日中「オン」だった心と体のスイッチを、そっと「オフ」に切り替えるために、意識的な深い呼吸はシンプルながら力強い儀式となります。特別な道具も広い場所も必要ありません。ただ、いつものベッドの上で、ご自身の呼吸に静かに意識を向けるだけでいいのです。
1日の終わりに心と体をリセットしませんか?
プロジェクトの締め切り、人間関係、明日のタスク…。一日中フル回転させた頭と、緊張でこわばった体を、そのままベッドに持ち込んではいませんか。腹式呼吸には、そんな心と体に嬉しい変化をもたらす力があります。
意識的に呼吸をコントロールすることで、心身をリラックスモードへと導くことができるかもしれません。
- 心の静寂を取り戻す: 呼吸に集中することで、頭の中を駆け巡る思考から、そっと距離を置くことができます。
- 体の緊張を緩める: 深い呼吸は、無意識のうちに入っていた肩や首、背中の力を抜き、体を芯から温めます。
- 睡眠の質を高める: 心身がリラックスすることで、ベッドに入ってから眠りにつくまでの時間が短縮され、より深い休息が得られやすくなります。
- 自律神経のバランスを整える: 活動モードの交感神経から、休息モードの副交感神経へと、穏やかに切り替える手助けをします。
この静かな時間を習慣にすることで、乱れがちな心身のバランスを、本来の穏やかな状態へと整えていけるのではないでしょうか。
科学的に見る腹式呼吸のリラックス効果とは
なぜ、深く息をするだけで私たちはリラックスできるのでしょうか。その背景には、私たちの意思とは関係なく心身の機能を調整している「自律神経」の働きがあります。自律神経は、活動的な「交感神経」と、休息のための「副交感神経」の2つから成り立っています。
腹式呼吸、特に息を長く吐くことは、「迷走神経」という神経を優しく刺激します。この迷走神経は副交感神経の主要な部分を占めており、活性化すると心拍数が穏やかになり、血圧が安定し、筋肉の緊張が解けるなど、心と体が「お休みモード」に入るためのスイッチを押してくれるのです。(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット)
つまり腹式呼吸は、精神論ではなく、体の仕組みに基づいた、誰にでも効果が期待できる科学的なリラクゼーション法と言えるでしょう。
思考が巡り寝付けない夜に。ストレスと呼吸の深い関係とは
「早く寝なくちゃ」と思えば思うほど、かえって目が冴えてしまう。そんな経験はありませんか。ベッドに入ってからも仕事のことが頭から離れず、気づけば何時間も経っていた…。その原因は、日中のストレスが夜まで持ち越され、呼吸が浅くなっていることにあるのかもしれません。
心と呼吸は、鏡のように互いを映し出します。心がざわついているときは呼吸も浅く速くなり、呼吸が穏やかになれば心もまた、静けさを取り戻すのです。
浅い胸式呼吸がストレスを増幅させているかも
ストレスを感じたり、何かに集中したりしている時、私たちの呼吸は無意識のうちに浅く、速くなりがちです。これは主に胸の筋肉(肋間筋)を使った「胸式呼吸」と呼ばれ、活動モードである交感神経を優位にします。(出典:新百合ヶ丘総合病院 健康情報コラム)
日中の活動には不可欠な呼吸ですが、夜になってもこの状態が続くと、心と体はリラックスすることができません。むしろ、浅い呼吸そのものが脳に「まだ緊急事態だ」というサインを送り続け、緊張状態を長引かせてしまう悪循環に陥ることもあるのです。
呼吸の種類 | 主な特徴 | 体への影響 |
---|---|---|
胸式呼吸 | 浅く、速い。主に胸が動く。 | 活動モード(交感神経)を刺激。緊張やストレスを感じやすい。 |
腹式呼吸 | 深く、ゆっくり。主にお腹が動く。 | 休息モード(副交感神経)を刺激。心身をリラックスさせる。 |
もし、ご自身の呼吸が浅いと感じたら、それは「少し休みましょう」という体からの、優しいサインかもしれません。
私たちが睡眠中に無意識で腹式呼吸になるのはなぜ?
実は、私たちは健康な状態であれば、眠っている間は自然と腹式呼吸をしています。これは、腹式呼吸が最もエネルギー効率が良く、体を修復し、回復させるのに最適な呼吸法だからです。
仰向けに寝ると、重力の影響で内臓の圧迫が少なくなり、呼吸の主役である「横隔膜」が最も自由に、そして大きく動けるようになります。体が「完全にリラックスして良い」と判断すると、自動的にこの最も効率的な呼吸モードに切り替わるのです。
ですから、これから練習する「寝ながらの腹式呼吸」は、何か特別な技術を習得するというよりも、「体が本来知っている、最も心地よい休息のための呼吸を、意識的に思い出させてあげる」プロセスだと言えるでしょう。
薬に頼る前に試したい、私の不調を変えたシンプルな呼吸法
私自身、かつては仕事のプレッシャーからくる心身の不調に悩まされていました。特に夜は思考が止まらず、質の良い睡眠が取れない日々が続き、朝の倦怠感が当たり前になっていました。様々な健康法を試す中で出会ったのが、この「寝ながら行う腹式呼吸」です。
初めは半信半疑でしたが、ただベッドの上で呼吸に集中するだけのシンプルな習慣を続けたところ、驚くほど寝つきが良くなり、朝の目覚めがスッキリと感じられるようになりました。薬や特別なサプリメントに頼る前に、まず試してみてほしい。自身の経験から、そう心から感じています。この穏やかな時間が、同じように悩む方の一助となることを願っています。
初心者でも簡単!寝ながらできる腹式呼吸の全5ステップ

ここからは、いよいよ具体的なやり方のご紹介です。でも、決して難しく考えないでくださいね。大切なのは、完璧にやることではなく、ご自身が「気持ちいいな」と感じられること。力を抜いて、気楽な気持ちで試してみてはいかがでしょうか。
STEP1:まずは準備から、心と体が緩む姿勢の作り方
まず、リラックスできる環境を整えましょう。部屋の明かりを少し落としたり、お気に入りのリラックスできる音楽を小さな音で流したりするのも良いかもしれません。
準備ができたら、ベッドやヨガマットの上に仰向けになります。
- 両膝を軽く立てる: 膝を立てることで腰への負担が減り、お腹周りの緊張が自然と緩みます。足は腰幅程度に軽く開いてください。
- 両手をお腹に置く: 片方の手をおへその少し下に、もう片方の手を胸の上にそっと置きます。これは、呼吸によってお腹がきちんと動いているか、そして胸はあまり動いていないかを確認するためのガイドです。
- 全身の力を抜く: 肩、首、顔の力を「ふーっ」と息を吐きながら抜いていきましょう。奥歯の噛み締めも緩めて、まぶたを優しく閉じます。
この姿勢が、横隔膜を最も動かしやすい、腹式呼吸の基本ポジションです。
STEP2:一番大切!全ての息を「ふーっ」と吐き切る
腹式呼吸で最も重要なのは、実は「吸う」ことではなく「吐く」ことです。体の中にある空気を完全に吐き切ることで、次の新鮮な空気が自然と入ってくるスペースが生まれます。
口をろうそくの火をそっと消すときのように少しすぼめて、「ふーっ」と細く、長く、ゆっくりと息を吐き出していきましょう。お腹の上に置いた手が、ゆっくりと沈んでいくのを感じてください。まるで、一日中開きっぱなしだったPCのタブを、一つひとつ閉じていくように。無理のない範囲で、できるだけ長く吐き続けることを意識してみてください。
STEP3:自然に吸い込む、お腹の膨らみを感じましょう
息を完全に吐き切ると、体は自然に新しい空気を求めます。ここで無理に「吸おう」と力む必要はありません。口を閉じ、鼻から空気が自然に入ってくるのに任せてください。
意識するのは、お腹の動きです。入ってきた空気でお腹が風船のように優しく膨らんでいくのを感じましょう。おへその下あたりに置いた手が、ゆっくりと持ち上がっていく感覚です。このとき、胸の上に置いた手は、ほとんど動かないのが理想的。もし胸も動いてしまうようであれば、それはまだ少し力が入っているサインです。大丈夫、次の呼気で、さらにリラックスすることを心がけてみてください。
STEP4:吸うの2倍長く吐く、理想の呼吸リズムを見つける
リラックス効果を最大限に高めるための理想的な呼吸のリズムは、「吸う時間の約2倍の時間をかけて吐く」ことです。例えば、以下のようなリズムが挙げられます。
- 4秒かけて鼻から吸い込む
- 8秒かけて口からゆっくり吐き出す
しかし、この秒数はあくまで目安です。初めは秒数を数えることがプレッシャーになるかもしれません。まずは「吸うときよりも、吐くときを長めにしよう」と意識するだけで十分です。苦しいと感じたら、それはあなたにとって無理のあるリズム。ご自身が「心地よい」と感じる、自然なペースを見つけることが何よりも大切です。
STEP5:1日5分からでOK!心地よい時間を楽しむこと
この「吐いて、吸う」という一連の呼吸を、穏やかなリズムで繰り返します。まずは1日に5分、この呼吸のためだけの時間を作ってみましょう。慣れてきて心地よいと感じるようであれば、10分、15分と少しずつ時間を延ばしていくのも良いでしょう。
これを義務やトレーニングと捉えないこと。まるで、一日の終わりに温かいハーブティーを飲むように、「今日も一日がんばった自分を労わる、ご褒美の時間」として、この静かなひとときを味わってみてください。タイマーをかけるのも良いですが、回数や時間に縛られず、自然と眠気が訪れるまで続けてみるのもおすすめです。
呼吸の効果を最大化するために。知っておきたいコツと注意点

せっかくなら、その効果を最大限に感じたいもの。ここでは、より心地よく続けるための、ちょっとしたコツと安心のための注意点をお伝えしますね。
どうしてもできない…考えられる原因と簡単な解決法
「お腹を膨らませようとしても、なぜか胸ばかり動いてしまう」「うまくできているか分からない」と感じる方も少なくありません。その最も一般的な原因は、日々のストレスによる無意識の体の緊張です。横隔膜の周りが硬くなっていると、スムーズに動くことができません。
そんなときは、以下の点を試してみてください。
- 「吸う」ことは一旦忘れる: まずは「吐く」ことだけに100%集中します。お腹がぺたんこになるまで、これ以上吐けないというところまで、ゆっくり息を吐き続けます。これを数回繰り返すだけで、硬くなった横隔膜がほぐれやすくなります。
- お腹に本などを置く: おへそのあたりに軽めの本などを置いてみましょう。息を吸ったときに本が持ち上がり、吐いたときに下がるのを目で確認することで、お腹の動きを意識しやすくなります。
焦る必要はありません。「今日は体が緊張しているんだな」とご自身の状態に気づいてあげるだけでも、大きな一歩です。
やりすぎは逆効果?めまいがするときのサインとは
時々、「練習中に少しクラクラする、めまいがする」という方がいます。これは、呼吸を頑張りすぎるあまり、体内の二酸化炭素を排出しすぎてしまう「過換気」という状態に近くなっているサインです。
二酸化炭素は単なる老廃物ではなく、血液のバランスを保つ大切な役割も担っています。それが減りすぎると、脳の血管が収縮して軽いめまいを引き起こすことがあるのです。もし、めまいやしびれを感じたら、それは「やりすぎ」のサイン。すぐに呼吸の練習を中断し、数分間、普段通りの自然な呼吸に戻してください。力任せに深く呼吸するのではなく、あくまで「優しく」「穏やかに」行うことを心がけましょう。
「常に」意識しなくて大丈夫!自然な習慣化のヒント
「腹式呼吸が良いと聞くと、一日中意識しないといけないの?」と心配になるかもしれませんが、その必要は全くありません。むしろ、日中の活動的な時間帯に無理にリラックス系の呼吸を続けると、かえって心身のバランスを崩す可能性もあります。
ここでの目標は、「意識的な練習を通じて、リラックスしたい時の呼吸パターンを再教育すること」です。そのための効果的な方法が「ハビット・スタッキング(習慣の積み重ね)」です。
- 「夜、ベッドに入ったら」まず5分間だけ呼吸に集中する
- 「朝、目覚めたら」布団の中で数回、深い呼吸をする
このように、すでに毎日行っている習慣に紐付けることで、がんばらなくても自然と生活に溶け込ませていくことができます。「やらなくちゃ」ではなく、「気づいたらやっていた」という状態を目指しましょう。
ダイエットにも繋がる?呼吸でインナーマッスルを刺激
腹式呼吸は、直接的に体重を減らす魔法ではありません。しかし、ダイエットをサポートする嬉しい副次的な効果が期待できるのも事実です。
その理由は主に2つあります。
- ストレスホルモンの抑制: 慢性的なストレスは、お腹周りに脂肪を溜め込みやすくするホルモン「コルチゾール」の分泌を促します。腹式呼吸でリラックスし、このホルモンの過剰な分泌を抑えることは、間接的に内臓脂肪のコントロールに役立ちます。
- インナーマッスルの強化: 腹式呼吸は、横隔膜だけでなく、お腹の深層にある「腹横筋」などのインナーマッスルを自然に刺激します。この筋肉が鍛えられることで、ぽっこりお腹が引き締まり、姿勢が改善される効果も期待できるのです。
運動と組み合わせることで、痩せやすい体作りの土台を内側から整える、頼もしいサポート役となってくれるでしょう。
腹式呼吸についてもっと知るためのQ&Aコーナー
最後に、実践する上で多くの方が抱く、素朴な疑問にお答えしていきますね。
Q. どのタイミングで何回くらいやればいいですか?
A. 最もおすすめのタイミングは、心と体を休息モードに切り替えたい「就寝前」です。一日の緊張をリセットし、スムーズな入眠を助けてくれます。
時間の目安としては、まずは1回5分〜10分程度から始めてみてください。大切なのは時間の長さよりも、毎日少しでも続けることです。慣れてきて心地よいと感じるようであれば、ご自身のペースで時間を延ばしてみてください。
Q. 練習中に眠ってしまっても大丈夫でしょうか?
A. はい、全く問題ありません。むしろ、それは大成功の証です。
練習中に眠ってしまうということは、腹式呼吸によって心と体が十分にリラックスし、副交感神経が優位になったということです。目的は心地よく眠ることですから、そのまま安らかな眠りについてください。
Q. 息を吸うとお腹がへこむのですが、なぜですか?
A. それは「奇異呼吸(きいこきゅう)」と呼ばれる状態で、珍しいことではありません。多くの場合、胸や肩周りが強く緊張しているサインです。横隔膜がうまく下がらず、代わりに胸で息を吸おうとすることで、お腹が内側に引き込まれてしまうのです。
この場合は、無理にお腹を膨らませようとせず、まずは「長く、ゆっくり息を吐き切ること」だけに集中してみてください。吐く息に意識を向けることで、横隔膜周りの緊張が徐々にほぐれ、吸う息も自然と変わっていきます。
Q. 歌は上手くなる?発声トレーニングとの関係は?
A. はい、関係があります。歌唱やスピーチで使われる「ブレスサポート(声の支え)」という技術は、腹式呼吸が基礎となっています。
腹式呼吸をマスターすると、吐き出す息の量や圧力を安定してコントロールできるようになります。これにより、喉に余計な力を入れずに、豊かで安定した声を出す助けになります。ただし、発声のための腹式呼吸は、リラクゼーション目的のものとは少し異なる筋肉の使い方やトレーニングが必要です。
この静かで簡単な呼吸法を、ぜひ今夜の習慣に取り入れてみてください。一日頑張ったご自身への、何よりの贈り物になるはずです。
まとめ:穏やかな呼吸で、毎日頑張る自分を労わる時間を

ここまで、寝ながらできる腹式呼吸の具体的なやり方から、その背景にある科学的な理由、そして実践のコツまでを詳しくご紹介してきました。大切なポイントは、難しく考えすぎず、ご自身の体が「心地よい」と感じるペースを見つけることです。
今夜から始める、あなただけの安らぎの呼吸習慣
腹式呼吸は、特別な準備もコストもかからない、最も手軽で奥深いセルフケアです。一日の終わりに、ほんの数分、意識を自分の内側に向けるだけで、心と体は驚くほど穏やかさを取り戻します。
最初はうまくできなくても、全く気にする必要はありません。ただ続けるうちに、体は本来持っているリラックスする力を思い出していきます。ぜひ、この呼吸法をあなたの「お守り」のような存在にしてください。
心を整える呼吸で、すっきりした明日を迎えよう
夜、穏やかに眠りにつくことができれば、朝の目覚めはきっと変わります。心と体が十分に休息できれば、新しい一日をより前向きな気持ちでスタートできるでしょう。
今夜、ベッドに入ったら、ぜひこの穏やかな呼吸を試してみてください。深く、ゆったりとした呼吸の一つひとつが、明日への活力をそっと育んでくれるはずです。あなたの毎日が、より健やかで満たされたものになることを心から願っています。